請求・支払
会計
未収金管理のやり方|管理表・台帳・仕訳と入金消込との違い
2026/7/21
未収金管理は、請求したのにまだ入金されていない債権を把握し、回収を促すための管理です。未収金の見えない状態が続くと、入金確認漏れ、回収遅延、最終的には貸倒による損失につながります。
ただし、未収金管理は「入金消込」や「売掛金管理」と混同されがちです。入金消込は請求と入金を突き合わせる作業、売掛金管理は営業取引の債権管理、未収金管理は広く未回収債権全体を把握・督促する管理を指します。さらに、未収金・未収入金の勘定科目や仕訳もあわせて整理しておく必要があります。
この記事では、未収金管理の位置づけ、管理表・台帳の作り方、仕訳・年度またぎの処理、エクセル運用とシステム活用、業種別の留意点、外注・代行での対応を解説します。
未収金管理とは何か
未収金管理は、企業が請求した金額のうち、まだ入金されていない債権を一覧化し、回収状況を追跡・督促する一連の管理を指します。対象には、売掛金、未収入金、立替金、貸付金など、幅広い未回収債権が含まれます。
管理の目的は、次の3つです。
どの債権が未回収か、いくらあるかを正確に把握する
回収が遅れている債権を早期に発見し、督促する
貸倒リスクを見極め、引当や損切りの判断材料にする
未収金管理・売掛金管理・入金消込の違い
売掛金管理
売掛金管理は、営業取引(商品・サービスの提供)で発生した債権の管理です。売上計上、請求書発行、入金確認、残高管理までを一貫して扱います。
入金消込
入金消込は、入金データと請求データを突き合わせ、どの請求が入金済みかを確定させる作業です。未収金管理の一部ですが、消込そのものは「突き合わせ」に特化した工程です。
未収金管理
未収金管理は、未回収債権全体を把握し、回収を促進する管理です。売掛金、未収入金、立替金など対象は広く、消込結果を踏まえて未収残高を追跡・督促します。
未収金が発生する原因
入金確認漏れ
入金データを見落とし、消込がされないまま未収として残るケースです。件数が増えると手作業では追いつかなくなります。
請求漏れ・請求遅れ
売上が計上されているのに請求書が出ていない、または遅れていると、未収として把握されない債権が発生します。
振込名義の不一致
取引先の振込名義が請求先と異なると、消込候補が出てこず、未収として残り続けます。
督促の滞り
回収遅れがあっても、督促がルーチン化されていないと放置され、長期化・貸倒につながります。
未収金の会計処理・仕訳
未収金と未収入金の違い
未収金と未収入金は、どちらもまだ入金されていない債権を表す場面で使われます。実務では、営業取引から生じる売掛金、営業外・一時的な未回収債権、入金予定の性質を分けて管理し、社内の勘定科目ルールに沿って処理します。
入金されたら消込して残高を消す
未収金は、入金が確認できた時点で請求データと入金データを突き合わせ、該当する未収残高を消し込みます。入金額が請求額と一致しない場合は、手数料差引、分割入金、過入金、振込名義の違いを確認します。
年度またぎ・決算時の確認
年度をまたぐ未収金は、決算時点で未回収の債権として残高を確認します。請求書、契約書、入金予定、督促履歴をそろえ、回収可能性に疑義があるものは税理士や会計担当者と処理方針を確認します。
未収金管理表・台帳の作り方
必須の項目
未収金管理表(台帳)には、最低限次の項目を含めます。
請求先(取引先名)
請求No・伝票No
請求日・支払期日
請求金額
入金日・入金金額
未収残高
経過日数(期日超過日数)
督促履歴(日付・対応)
回収予定日・備考
経過日数で色分け・優先度づけ
支払期日を過ぎた日数に応じて、段階別に色分けし、督促の優先度を可視化します。長期化したものは貸倒リスクとして経営陣に共有します。
月次で残高を確定する
毎月決まった締め日で未収残高を確定し、前月との差異を確認します。残高が合わない場合は、入金消込の漏れや計上ミスを疑い、原因を追及します。
未収金管理をエクセルで行う場合
エクセル管理の限界
件数が少ないうちはエクセルで十分ですが、取引先が増えたり、複数件のまとめ入金が多くなると、手作業での消込と転記が限界に達します。更新忘れや数式の誤りも生じやすくなります。
エクセルで管理するコツ
マスタシート(取引先一覧)と明細シートを分ける
入金データを一括取り込みし、関数で候補を提示する
経過日数は関数で自動計算し、条件付き書式で色分けする
定期的にバックアップを取り、更新履歴を残す
ただし、エクセルはあくまで過渡期の運用と捉え、件数が増えたらシステム化や外注化を検討します。
未収金管理システムの活用
システム化のメリット
入金データの自動取得、AIによる消込候補提示、督促メールの自動送信、経過日数の可視化など、システム化すると手作業を減らせます。freee、マネーフォワード、弥生販売、SAP、kintoneなど、規模に応じた選択肢があります。
選び方のポイント
取引先数、入金件数、銀行連携の有無、会計ソフトとの連携、督促機能の有無、セキュリティ要件を基準に選びます。導入後は、マスタの整備と運用ルールの定着が効果を左右します。
業種別の未収金管理の留意点
病院・医療機関
患者の未収金(自己負担分、入院費、差額ベッド代)の管理は、診療報酬請求(レセプト)とは別に行う必要があります。患者ごとの未収管理表を作り、長期化したものは回収方針を明確にします。
不動産・管理組合
マンション管理費、修繕積立金の未収は、管理組合の収支に直結します。長期滞納者の督促ルールと、法的対応のタイミングを定めておきます。
BtoBサービス
継続契約・月額課金の未収は、解約時の残債や、一部のみの入金が発生しやすく、請求と契約の突き合わせが重要です。
未収金管理を外注・代行で進める
外注に向く工程
入金データの取得と消込、未収残高の更新、督促状の作成と送付、回収状況の定期報告は、外注・代行で進められます。社内には回収方針の判断と重要取引先の対応を残します。
代行を活用するメリット
入金消込と未収管理は件数が多く工数がかかるため、代行に任せると、経理担当者は分析や督促方針の検討に集中できます。売掛金管理代行や経理BPOのメニューとして提供されている場合があります。
営業取引の回収予定を中心に管理する場合は売掛金管理の基本へ、入金データと請求を日々照合する工程は入金消込の手作業・システム・BPOの判断基準へ分けると、役割の重複を防げます。
よくある質問
未収金管理とは何ですか?
入金予定があるのにまだ回収できていない金額を把握し、請求・入金確認・督促の状況を管理することです。未収金を放置すると、回収遅れや資金繰り悪化につながります。
未収金と未収入金の違いは何ですか?
会計上の使い分けは取引内容によって変わります。実務上は、どの請求が未入金で、いつ確認し、誰が対応するかを管理できる状態にすることが重要です。
まとめ
未収金管理は、未回収債権全体を把握し、回収を促進する管理です。売掛金管理や入金消込と混同されがちですが、それぞれ目的と対象が異なります。管理表(台帳)を作り、請求先、金額、支払期日、入金状況、経過日数、督促履歴を一元管理し、入金されたら消込で残高を消すことが基本です。
件数が少ないうちはエクセルでも運用できますが、取引先や入金件数が増えると限界に達するため、システム化や外注化を比較します。年度またぎや回収可能性に疑義がある未収金は、勘定科目・仕訳・決算処理を税理士や会計担当者と確認し、業種特性に合わせた管理ルールを整えます。
あわせて読みたい関連記事
経理代行・バックオフィス体制の相談はこちら
未収金の残高が合わない、入金消込が追いつかず未収が把握できていない方は、入金消込・売掛金・未収金の現状を整理し、管理表・仕訳確認・督促ルールの運用設計をご相談ください。


